2016年04月20日
「ヨルダンの文化遺産」をテーマにイラク研の公開講演会を開催しました
イラク古代文化研究所が主催する公開講演会・討論会「ヨルダンの文化遺産の現状を聞く-ヨルダン考古庁の文化遺産調査員を迎えて」を4月20日、メイプルセンチュリーホール5階の第1会議室で開催しました。当日はイラク研関係者やヨルダンの文化遺産調査員5人の他、教職員や地域住民など約50人が聴講し、文化遺産への関心の高さを伺わせました。
開始に先立ち佐藤圭一学長は「本学が長年培ってきたヨルダン、ウムカイスの発掘・修復作業を公開する。同遺跡の世界遺産化実現に向けて、この講演会が実り多いものとなるよう願う」とあいさつしました。講演会ではイラク古代文化研究所所長の岡田保良教授が司会を務め、松本健教授が「ヨルダン、ウム・カイス遺跡共同円形劇場修復事業」について、ジハード・ハルーンヨルダン考古庁長官補佐が「ヨルダン文化遺産の現状」をテーマに講演しました。
イラク研のヨルダン、ウムカイス遺跡修復は、現在シリア情勢の悪化で現地調査が困難な状況にあります。松本教授は現地の人々が古代遺跡の価値を理解していないために、破壊や盗掘されている現状を説明し、文化遺産の価値や素晴らしさをもっと現地の人々に理解してもらう必要があると指摘。そして「現地の専門家の話を聞き、なぜ今ヨルダンの遺跡修復支援が必要なのかを知ってほしい」と講演会の主旨を伝えました。
また、ジハード氏は「遺跡はヨルダンのためだけに守るのではない。いち早くガイドラインや法を整備し、遺跡の管理システムを構築することで、周辺諸国のものを預かり平和になったら戻すことができる。これは中東諸国の歴史保存のためでもある」と述べ、引き続き日本の支援が必要だと呼びかけました。
▲講演する松本教授
▲文化遺跡の状況を説明するヨルダンの調査研究員ら